実務

敵対的TOBから企業を救う「ホワイトナイト」とは 事例を紹介

ホワイトナイト(白馬の騎士)は敵対的買収(TOB)を仕掛けられた企業を、買収者に対抗して友好的に買収する企業のこと。企業の買収防衛策の一つで、中世のアーサー王伝説の物語に登場する英雄「白馬の騎士」が由来。ただ、助けてくれるだけのホワイトナイトが市場に存在するとは考えにくい。どのような目的か、事例などを紹介する。

ホワイトナイトの目的と、TOBされる側のリスク

そもそも敵対的TOBは、企業の経営陣の意図に反し買収を仕掛けること。ホワイトナイトは、敵対的TOBを仕掛けられた企業が、第三者に買収を働きかけることで登場することが多い。ホワイトナイトにとっても、買収によってシナジー効果を見込むことができれば、メリットが大きい。
いっぽう、買収される側の企業にとっては、ホワイトナイトを探し出すことで「身売りの意思表示」をすることにもなる。ホワイトナイト以外の新たな買収者の登場を誘発する可能性も考慮する必要がありそうだ。

ホワイトナイトの株式取得方法

TOBに対し、ホワイトナイトはどのようにして買収を図るのか解説する。

公開買い付け(もとある株を集める)

すでにTOBにさらされている企業の株に対し、さらに高い株価を提示してTOBを仕掛けて株を集める。もともとTOBを実施していた企業(者)はホワイトナイトより低い価格設定なので、売ってくれる株主が少なくなる可能性が高い。

新株交付(新しく株を発行する)

ホワイトナイトに対して新株を交付する。新株を発行することで、TOBを仕掛けている企業の株の保有割合を下げることができる。第三者割当増資ともいう。既存の株主にとっては、自分の保有割合が不当に下げられる恐れがあるため、会社法で定められた方法で実施する必要がある。

上記二つは同時に実施する可能性もある。

ホワイトナイトの事例3選

実際にホワイトナイトが活躍した事例を3つ紹介する。

オリジン東秀×イオン

2005年、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」がコンビニ事業を計画。「オリジン弁当」などを運営するオリジン東秀(オリジン)に対し敵対的TOBを仕掛けた。オリジンはイオンに対し、ホワイトナイトになるよう要請。イオンが526億円で買収することになり、ドン・キホーテも株式をイオンに売却した。主力だった「オリジン弁当」から、働く女性をターゲットにした「キッチンオリジン」へ力をシフトしている。

明星食品×日清食品

2006年、米投資ファンドスティール・パートナーは、「チャルメラ」や「一平ちゃん」を製造・販売する明星食品に敵対的TOBを仕掛けた。そこに、「カップヌードル」などの即席めん最大手、日清食品がホワイトナイトとして登場した。スティールは買収価格のつり上げは行なわなかった。スティールはもともと明星の株を2割以上取得しており、当初からホワイトナイトに対して売却して利益を得ることが目的だったとされている。

失敗例も

ホワイトナイトになれずに断念した例もある。

ソレキア×富士通

2017年には、機械メーカーフリージア・マクロスの佐々木ベジ会長が、ITサービスのソレキアに敵対的買収を仕掛けた。ソレキアは反発して取引先だった富士通にホワイトナイトになるよう要請。これに対し佐々木氏が富士通を上回る買取価格を提示し、最終的に価格競争を制した。富士通はTOBの応募が下限にとどかず、失敗した。

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