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不動産・ホテル事業の「ユニゾ」、EBOが成立

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中堅不動産会社のユニゾホールディングス(HD)が買収騒動に決着がついた。敵対的買収(TOB)を仕掛けられ、ホワイトナイトとなる投資会社が現れたと思ったが...。ユニゾをめぐる騒動は、従業員によるEBO成立、という形で終わった。

ホワイトナイトとは

ホワイトナイト(白馬の騎士)は敵対的買収(TOB)を仕掛けられた企業を、買収者に対抗して友好的に買収する企業のこと。企業の買収防衛策の一つで、中世のアーサー王伝説の物語に登場する英雄「白馬の騎士」が由来だ。

きっかけはHISによるTOB表明

一連の動きのきっかけになったのは2019年7月。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)がユニゾに対し敵対的TOBを仕掛けたことだ。

これに対し、ユニゾは有効的に買収してくれる企業、「ホワイトナイト」を探した。そこで組んだのがソフトバンクグループ傘下の投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループだ。株式を取得し、非公開化を目指した。

この動きに、周りの投資家も反応。投資顧問会社いちごアセット、米投資会社も株式の取得を進めた。8月の時点で、株価はHISによる買収計画発表時の2倍にふくれあがり、HISが示した買取価格よりも高い価格になった。

HISによる株式取得の期限の8月23日、目標の株数に届かず買収は失敗した。結局、応募はゼロだった。

ホワイトナイトと衝突

フォートレス・インベストメントとユニゾが組んだ買収で非公開が進むと思われた9月、事件が起こった。ユニゾが買収計画に反対したのだ。

理由は、ユニゾが株価の上昇を踏まえてフォートレス側に要求したTOB価格の引き上げが受け入れられず、従業員雇用維持が確保されない可能性がでてきたからだ。ユニゾは組織の解体をおそれ、一転して自分たちが招いたホワイトナイトと衝突する形になった。

世界最大の投資ファンドからのTOB

そんな矢先の10月、世界最大の投資ファンド、米ブラックストーン・グループがユニゾのTOBに手を上げた。買取価格はユニゾが望む1株5000円。大規模な組織再編なども実施しない方針だった。TOBはユニゾ経営陣の賛同が得られれば、という条件付きだったが、敵対的TOBも辞さない構えだった。

スポンサーとタッグでEBOへ

味方になってくれる企業を探し続けていたユニゾ。12月22日なって、最後の手段を発表した。

米投資ファンド、ローン・スターが手を挙げたのだ。ユニゾ従業員でつくる企業が7割、ローン・スターが3割出資して投資会社を新設。従業員によってユニゾを買収する(EBO)、というものだ。

TOBが成立したら現在の経営陣約40人は総退陣することも発表。経営陣の保身ではないことを市場にアピールした。

新設会社の資本金はわずか1万円。EBO資金はローン・スターが提供する。議決権のない優先株450億円を引き受けるほか、最大1300億円を融資する。

ローン・スターはかつて、2001年に経営破綻した旧東京相和銀行のスポンサーとなり再建。東京スター銀行として再上場させた実績をもつ。

年明けになってユニゾは資産である不動産の売却を進めている。資産を削ってブラック・ストーンらの買収意欲をそぐねらいがあると見られる。

問われる従業員側の経営力

4月3日、従業員と、ローン・スターが出資する「チトセア投資」による、「ユニゾ」のTOBが成功。EBOが成立した形となった。下限2281万株に対し応募株数は2961万株だった。

EBOに必要な資金は一時的にローン・スターが出すが、EBOが成立したら従業員側が買い戻す計画という。上場廃止のなか、企業統治がきちんと働き、収益をあげられる企業に成長できるか、従業員側の経営力が問われることになる。

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