ソフトバンクグループは、最大4.5兆円の保有資産の売却・資金化を実施すると発表した。
売却して得た資金は自社株買いや負債圧縮にあてる。新型コロナウイルスの影響で株の値下がりを懸念する投資家の不安を払拭するのがねらいだ。
投資は抑制
今回の自社株買いは最大2兆円。直前に5千億円の自社株買いを発表しており、自社株買いの規模は発行済み株式の45%分に相当する。
自社株買いで残った資金は、借金返済などに使うという。投資を控え、「守り」に入る構えだ。
コロナで株価半減
新型コロナの影響などで、ソフトバンクグループの株価は2月から半減した。
さらに投資先の米シェアオフィス、ウィーカンパニーなどのIPO(新規株式公開)の投資回収にも不透明感がただよっていた。
今回の方針について孫正義会長は「このプログラムは当社史上最大の自己株式取得であり、さらに過去最大の現預金等の増加につながるもの」とコメントした。
背後に「モノ言う株主」
ソフトバンクグループの投資には厳しい目線が注がれている。経営が混乱している米シェアオフィスの「ウィーカンパニー」もその一つだ。
これまで1兆円以上を投資したが、シェアオフィスの収益はねらい通りに上がらず、上場益の回収に黄色信号がともっている。
2月、「モノ言う株主」とされる米投資ファンドのエリオット・マネジメントが3%ほど買い増した。
ソフトバンクグループに対し、社外取締役の増員や、投資判断の透明性を高めるよう求められている。今回の「体質改善」には、これらの投資家への配慮もにじんでいる。
投資家は一時好感も...
今回のねらいは、財務体質の強化による投資家の不安払拭だ。すぐに市場は反応した。
発表直後に株価は一時ストップ高に。資金を捻出し、債務を返済する能力があることをアピールしたかたちだ。
しかし、3月末には英スタートアップ「ワンウェブ」が経営破綻。ソフトバンクグループの資産売却を上回るスピードで投資先の株式など保有資産の価値が目減りすれば、グループの財政が揺らぐ。