経済産業省は6日、この時期に集中する株主総会について、株主がオンラインで出席することが可能だとする見解を発表した。新型コロナウイルスの影響で、感染拡大を懸念する会社に向けたもので、混乱を抑える狙いだ。
3~6月は開催ピーク
定時株主総会は、事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされている。3か月以内に開催する会社が多く、12月決算の会社では、3月ごろが開催のピークだ。
経産省はこれについて、「決算後3ヶ月以内に必ず開催しなければならないとされているわけではない」「天災等などでその時期に定時株主総会を開催できない場合には、状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りる」としている。
ただ、株主総会では、取締役の選任などの重要事項が決まることもあり、多くの会社が開催延期を躊躇しているのが実態だ。
株主総会は現実の開催場所が必要
会社法では株主総会について、現実の開催場所を設けることを定めている。また株主の入場を制限することはできないと解釈されている。
しかし今回、感染対策を重要視し、「入場できる株主の数を制限できる」との見解を法務省と連名で出した。
経産省が提案する「ハイブリッド型バーチャル株主総会」
経産省はこのほど、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定した。
この総会では、リアルな株主総会を開催すると同時に、会場にいない株主についても、ネットなどで遠隔地から参加できるようにするものだ。
会社法上、ネット経由の参加も可能で、議決権の行使も可能。会社側がそうした環境を整えられるかどうかにかかっている。
経産省の見解では、環境を整えられなかった場合でも、感染対策のため総会への出席を控えることを呼びかけることができる。
その際には「事前の議決権行使の方法を案内することが望ましい」としている。