不振が続く三陽商会。大株主から身売りを迫られたうえ、取締役の交代などを求められている。巻き返しを図る改革が実現できるか。正念場を迎えている。
バーバリーとのライセンス切れ
不振の大きな原因の一つが、英高級ブランド「バーバリー」との契約が終了したことだ。
バーバリーとのライセンス契約が始まったのは1965年。男性向けの「バーバリーブラックレーベル」、女性向けの「ブルーレーベル」は、三陽商会とバーバーリーが立ち上げた、日本人好みにデザインされたブランドだ。
両者の蜜月が終わりを迎えたのは、バーバリーの方針転換が原因だ。
バーバリーは高級化路線を進めると明言。三陽商会と手を切り、日本法人が運営する直営店でブランドを売り出すことに決めた。三陽商会は、2015年春夏シーズンでバーバリー事業を終えた。
4期連続純損失
バーバリーとの契約が終了して以降、三陽商会の経営は悪化している。
16年度から4期連続で純損失を計上。特に2020年は暖冬や新型コロナの影響で赤字額が拡大しているとの見通しだ。
従業員の約4分の1の早期退職を実施。三陽商会の岩田功社長は昨年10月に退任した。
米アクティビストは身売り要求
三陽商会の株式の6%超を持つ大株主で、米アクティビストファンドのRMBキャピタルは、三陽商会に対して会社売却を検討するよう求めた。
「三陽商会の資産は、高品質のアパレル製品を生み出し販売する従業員。この資産を守り、活用するためには、より大きな資本の傘下に入り、事業の立て直しを図るべき」としている。
さらに4月13日には、取締役の交代を、5月の株主総会に提案すると表明した。
マッキンゼー出身でアスキーやクラシエの経営に携わった小森哲郎氏や、RMBの人材を、取締役に招聘するよう求めている。
提案が他の株主の理解を得れば、三陽商会は他社の傘下に入る可能性が高い。