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個人に照準をあわせる米ネット証券

米銀大手モルガン・スタンレーは2月、米ネット証券大手のEトレードを130億ドル(約1兆4千億円)で買収すると発表した。一方ライバルのゴールドマン・サックスも個人向けの戦略に舵をきる。これまで個人向け事業に力を入れてきた米銀大手が迎え撃つ構図だ。

米・ウォールストリート(写真はイメージです)

モルガン 130億ドルで買収

買収は株式交換の形で成立した。価格としては、2008年のリーマンショックによる金融危機以来、最大級という。

Eトレードは520万を超える個人投資家を持ち、3600億ドルを超える預かり資産を管理している。モルガン会長兼CEOのジェームズ・ゴーマンは「Eトレードの資産が、モルガン・スタンレーが事業すべてのトッププレーヤーなるのを後押ししてくれる」とコメントしている。

Eトレードはビットコインとイーサリアムの取引プラットフォームを構築すると報じられており、今後仮想通貨にも進出する可能性がある。

米金融業界の主戦場は個人向けサービスへ

モルガンが大口の機関投資家ではなく個人投資家に注目し始めたのは、銀行のこれまでの伝統的な収益構造が行き詰まりを見せ始めたのが要因だ。M&A助言などでは依然大きな存在感を示しているが、競争も激しい。稼ぎ頭も安泰ではない。

一方、手数料を無料とするネット証券が台頭してきた。顧客の獲得争いのため各社が新サービスを立ち上げている。

米投資アプリ「ロビンフット」の製品紹介ページ

ゴールドマン・サックスも個人向けへシフト

ライバルのゴールドマン・サックスも個人に力を入れている。昨年5月に、個人富裕層向け金融サービス大手、米ユナイテッド・キャピタル・ファイナンシャル・パートナーズを7億5千万ドル(約820億円)で買収。ユナイテッド・キャピタルの顧客は2万2千人を超え、預かり資産は250億ドルだ。

アップルと組み、クレカ事業にも参入。「Apple Card」を発行する。

今年1月には投資家向けの集会「インベスター・デー」を開催した。

個人向けでは他銀が先行

莫大な資金力を持つ両社だが、個人向けでは他銀が先行している。2019年4-6期決算では、米大手6グループ(バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー)のうち、投資銀行が中心のモルガンとゴールドマン・サックスだけが減益だった。個人向け業務への取り組みが明暗を分けた。

両社を迎え撃つ米銀はIT人材獲得に巨額の資金を投じている。個人投資家を巡る争いは一層激しさを増しそうだ。

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