実務

M&Aって?メリットやデメリットを分かりやすく説明

少子高齢化による人材不足や、厳しい経営環境に事業承継に頭を抱える経営者が増えている。そんななか、企業提携のあり方として注目を集めているのが「M&A」だ。

中小企業のM&Aが2017年には初めて3,000件を超えるなど、M&Aにはさまざまなやり方がある。メリットはもちろん、デメリットにも目を向けなければ最適な提携は見込めない。

M&Aとは何の略?簡単に解説

M&A(エムアンドエー)、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)は、その名の通り企業の合併・買収のこと。
二つ以上の企業が一つになったり(合併)、ある企業がほかの会社を買ったり(買収)することだ。

広義では、合併・買収だけでなく提携など経営上の協力関係も含める場合がある。

M&Aにはどんな種類があるのか

事業承継には「M&A」「後継者への承継」「株式上場」「廃業」がなどあり、なかでもM&Aを選択する経営者が増えている。

上場企業だけでなく、中堅・中小企業で締結されるケースも増えている。仲介業者の増加により、個人が契約するスモールM&Aも活発になっている。

株式譲渡

売り手企業が買い手に、対価と引き換えに株式を譲渡することで経営権を引継ぐ。
中小企業のM&Aで最も多く採用されている。
上場企業の場合、市場で買付けが行なわれ、非上場の場合は相対取引が行なわれる。

株式交換

株式会社が、発行済株式の全部を他の会社に取得させること。
100%を取得された会社を完全子会社、取得した会社を完全親会社という。
株式交換の対価が株式の場合、完全子会社の株式交換直前の株主は、株式交換後、完全親会社の株主となる。

株式移転

既存企業が、新設の株式会社の100%子会社になること。
合併のように会社が消滅するわけではないので、多額な資金調達や長期の調整を経る必要がないメリットがある。
持株会社を創設する場合に用いられる。

合併

複数の企業が一つになること。「吸収」と「新設」があり、吸収合併は1社が相手を吸収して存続し、相手の財産や従業員を継承する。
相手は解散する。
新設合併は、合併する当事者たちが解散し、新設企業を受け皿とする。互いの財産や従業員は新企業に承継させる。

事業譲渡

企業の事業の全部または一部を他の企業に譲渡すること。
工場や土地といった有形固定資産や、従業員・ノウハウなども対象。
譲受会社は必要な事業だけを譲り受けることができるが、個別契約が必要になる。

会社分割

企業が、ある事業を分割し、新設会社として独立させるか、他の企業に承継させること。
成長部門の独立や、不採算部門の切り離しに利用される。
個々の資産を譲渡する事業譲渡と異なり、資産や権利など事業部一体を切り離す。

日本企業が関わるM&Aで4000件突破

M&Aは増加傾向にある。日本企業が関わるM&Aは、2019年に初めて4000件を突破。
国内企業同士のM&A(IN-IN)が3000件となり過去最多を3年連続で更新した。
ベンチャー企業のM&Aがうち3分の1を占めている。金額は約6兆円で前年比109%の伸びになっている。

大企業では、子会社や事業を売却する動きが本格化している。

買収を実施した企業数が、事業を新設した企業数を上回っている。経産省資料より

中小企業によるM&Aが目立つ。経産省資料より

売り手側、買い手側のメリット・デメリットとは

注目を集めるM&Aだが、万能というわけではないのが実情だ。
売り手、買い手側双方にメリットやデメリットが内在していることに注意が必要だ。

売り手側のメリット・デメリット

売り手側のメリット・デメリットは以下の通り。

メリット

・事業が継続でき、仕入先・取引先との関係維持が可能
・従業員の雇用が維持できる
・資金調達や販路拡大が円滑になる
・備品処分や社員への手当など廃業コストが不要
・株の売却益を得られる
・創業者の個人補償が解除される

デメリット(リスク)

・譲渡価格が想定より低い
・社員や取引先からの反発
・交渉や監査がある

買い手側のメリット・デメリット

買い手側のメリット・デメリットは以下の通り。

メリット

・成熟した技術、ノウハウを得ることができる
・顧客層が拡大する
・事業拡大に必要な時間・お金を節約できる

デメリット(リスク)

・買った企業とのシナジー効果が発揮できない
・買収した企業の問題が新たに発覚

M&Aの価格の算定方法


M&Aの局面で時間をとるのが、企業の売却(買取)価格の算定方法の調整だ。

大和総研によると、企業の貸借対照表に着目し、資産と負債の差分を算出する方法や、株式市場での価値や将来獲得が予想される収入を基準にするやり方などがある。

コストアプローチ

会社の持つ資産と負債の価値を個別に評価し合計する。

インカムアプローチ

将来得られる利益、キャッシュフロー、配当を現在価値に還元して評価する。

マーケットアプローチ

その企業や同業他社の株の取引価格をもとに株価を算出する。

M&Aの事例5選 失敗例も

2019年は国内企業間で1千億円級の大型M&Aが1年ぶりに締結されるなど、注目の年になった。その中でも、ソフトバンクのヤフー買収は大きな話題になった。

ソフトバンク、ヤフーを子会社化(4564憶円)

携帯電話大手のソフトバンクは5月、ヤフー(現・Zホールディングス)を子会社化すると発表。ヤフーはこれまでソフトバンクグループの子会社だったが、携帯のソフトバンクとの資本関係を強め、スマホサービスとネットショッピングとの相乗効果をあげるねらいがある。

アサヒグループHD、豪ビール大手カールトン&ユナイテッド・ブルワリーズを子会社化(1兆2096億円)

アサヒグループホールディングスは7月、豪州ビール最大手のカールトン&ユナイテッドブルワリーズを113億ドルで買収すると発表。国内では高齢化や若者のビール離れが加速しており、海外展開に力を入れる方針。

ヤフー、ZOZOを子会社化(4007億円)

旧ヤフーのZホールディングスは11月、ゾゾタウンを運営するZOZOに対してTOB(株式公開買付)を実施。成立した。創業者で前社長の前沢友作氏は、TOB発表があった9月に社長を退任。

HOYA、半導体製造装置メーカーのニューフレアテクノロジーをTOBで子会社化(1477億円)→中止へ

光学機器メーカーのHOYAは、半導体製造機器メーカーのニューフレアテクノロジーの子会社化を目指して、TOBを仕掛けた。ところが、子会社を通じてニューフレアテクノロジーの株式約52%を持つ東芝は、TOBに応じないことを表明。失敗した。

昭和電工、日立化成を子会社化へ(9640億円)

化学大手の昭和電工は12月、同業他社の日立化成に対してTOBを実施すると発表。3月24日に開始した。両者の年間売上高は計1.7兆円。時価総額は昭和電工が4500億円に対し、日立化成は8500億円。「大が小をのむ」と話題に。

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