企業の株式全体の5%以上を保有した場合、大量保有報告書を提出しなければならない。
これに注目しておくと、企業の株価の行方や大型投資家や機関投資家の動きが読めるはずだ。
大量保有報告書を提出する理由
金融市場ではM&Aや組織再編、取引関係の強化など、あらゆる状況で企業の株式の売買が行われている。
上場している企業の株式などを大量に取得したときは、株価が乱高下する可能性がある。
なにが起きているのか、誰が買っているのか、情報が少ない投資家は不利益を被ることも。市場の公平性、透明性を高めるため、金融商品取引法では、金融庁への報告が定められている。
大量保有報告書にはどんなことが書いてある?
1. 発行者に関すること
発行者の名称、証券コード、上場取引所など
2. 提出者に関すること
個人は氏名、住所、職業など。法人は名称、所在地、事業内容など
3. 保有目的
純投資、政策投資、経営参加、支配権取得など
4. 提出者の保有株券などの内訳
株式など、種類別保有株数と、合計の保有割合
5. 最近の取得・処分の状況
最近60日間の全ての取引について、取引日や取引数量、取引価格など
6. 株式などに関する重要な契約
売戻契約、担保契約、売買予約など重要な契約、取り決め
7. 取得資金に関すること
自己資金、借入金の内訳、借入先の名称、業種、代表者氏名、所在地、借入目的や金額など
大量保有報告書の提出期限や罰則規定
提出期限
保有割合が5%を超えたときに大量保有報告書を、それ以後1%以上変動したときは報告書を提出する。両方とも、提出義務が生じた日(約定日)から5営業日以内に提出する義務がある。
罰則規定
大量保有報告書の不提出や虚偽記載の場合
・5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金
・法人の場合、5億円以下の罰金刑の両罰規定
大量保有報告書の形式不備や虚偽記載があった場合、金融庁は訂正報告書の提出を命じることがある。違反した場合、
・1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
・法人の場合、1億円以下の罰金刑
大量保有報告書が閲覧できる場所

EDINETウェブページ
大量保有報告書は2007年から、紙面での提出ができなくなり、電子文書での提出が義務付けられた。金融庁の開示システム、EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork・エディネット)で閲覧できる。EDINETの情報は複製、翻訳、変形、翻訳など自由に利用することができる。企業分析ツールCOVAVISでもEDINETの資料をまとめている。

COVAVISのEDINET資料ページ
大量保有報告書関連の書類
大量保有報告書の提出後に、関連の報告書が提出されることがある。
変更報告書
大量保有報告書を提出後、株式などの保有割合が1%以上増減したとき、氏名・住所など大量保有報告書に記載するべき事項に変更があった場合に提出する。
訂正報告書
大量保有報告書や変更報告書に誤りがある場合、記載が不十分な場合に提出する。