実務

【改訂版】2020年版 コーポレートガバナンス・コードの基本原則

東証が公表したコーポレートガバナンス・コード(2018年版)

2015年6月に上場企業に適用されたコーポレートガバナンス・コード。

上場企業がとるべき企業統治(コーポレートガバナンス)のやり方を示した指針で、東京証券取引所(東証)と金融庁が、政府の成長戦略の一環として作成したものだ。

2018年に改正され、現在も適用されている。
重要なポイントにしぼって解説する。

コーポレートガバナンスとは

東証の説明資料によれば、コーポレートガバナンスとは、

「会社が、株主をはじめ顧客、従業員、地域社会などの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行なうための仕組み」

のこと。株主が権利を適切に行使できる環境を整えるためのものだが、実施を一律に義務付けるものではない。ただ、遵守していなければ投資家から敬遠され株価が下がる可能性がある。

「コンプライ・オア・エクスプレイン」と言われ、「コンプライ(遵守)」しないのであれば株主らに「エクスプレイン(説明)」せよという規範だ。

コーポレートガバナンス・コードが定められた背景

日本では、企業経営を経営陣だけが掌握していた結果、利益を設備投資や配当、賃金などに反映せず、株主の利益を重視しないと批判されてきた。

企業同士が安定株主となるために持つ「政策保有株」という独特の風習もあり、海外投資家からは投資先として魅力的に映らなかった。

企業の不適切会計がクローズアップされるなか、企業の国際競争力強化をねらい、第2次安倍政権の「成長戦略」にコードの策定が盛り込まれた。

コーポレートガバナンス・コードの基本原則

コーポレートガバナンス・コードは次の5つの原則から成り立っている。

・株主の権利・平等性の確保
・株主以外のステークホルダー(利害関係者)との適切な協働
・適切な情報開示と透明性の確保
・取締役会等の責務
・株主との対話

以上の原則の中に、具体的な施策を例示している。重要なものを紹介する。

社外取締役を2人以上設置

とりわけ、企業経営の透明化を図るために重要とされるのが、社外取締役の2人以上の設置だ。

これまでは1人以上を置くことが求められていた。
しかし、ニューヨーク証券取引所では上場企業に取締役の過半数以上の社外取締役を置くよう定めていた。

他方、人材不足の懸念もある。なり手は企業経営の経験者や弁護士、学識者らが就任することが多いが、複数の企業を兼任している場合が少なくない。

2018年改訂 政策保有株縮減へ

2018年6月に初めて改訂版を公表した。

企業がお互いに株を持ち合う「政策保有株」を縮減させる方針を明記。

経営トップの選任、解任手続きの明確化、取締役会への女性や外国人登用の必要性を明記した。

伸び悩む女性・外国人役員

東証が2019年11月に発表した資料によると、東証一部に上場している企業のうち9割弱が、全78原則のうち少なくとも9割以上を遵守している。二部との合計では約8割になる。

ただ、取締役への女性や外国人登用は伸び悩む。

同資料によると、JPX日経400の構成銘柄のうち女性役員を3人以上おいていた企業は2%。直前の集計から1%しか上昇していない。

世界では、女性役員を登用した方が投資家から高い評価を得る傾向が強まっている。

一方、外国人役員の登用も2%にすぎず、グローバル化の遅れが指摘されている。

東証が公表している実施状況の説明資料。他の取り組みに比べて女性・外国人登用が進んでいない

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